SSブログ

蝦づくし [映画]

DVDで『第9地区』。公開時はなんか忙しくて、見に行けなかったんです。

噂に違わず、おもしろかった。ロジャー・コーマンの香りがする。だけど、何か物足りないところもある、別にロジャー・コーマン的基準に照らし合わせてということじゃないけど。ネット上で「消費者の皆様からの意見」みたいなものを拾い読んでみても、ほとんどは高評価であって、たまに酷評しているものがあっても、判で押したように「気持ちわりぃ」とか「だから、何が言いたいの?」みたいなのばっかで、この物足りなさを考える手助けには全くならないので、ひとりで勝手に考えてみる。

まず、デビッド・フィンチャーを見たばっかというのもあるかもしれないが、夜の演出ができてないのだと思う。逃亡した主人公が「第9地区」に再び足を踏み入れるあの夜である。昼間、そして公用で訪ねたときと違って、夜そして完全に孤立した立場で見る「第9地区」は、別の表情を見せてほしいと思ったが、それがほとんどなかった。表情もそうだし、聴覚的な環境も変わってしまっているはずなのであって、主人公の歩行のリズムや息遣いが、具体的にどう演出しろというわけでもないけど、もっと肌に近いものであるべきなんじゃないかという気がする。ただそれ以前に、この演出家は夜にあまり重要性を置いてないのだろうが、それは残念なことだ。スピルバーグやカーペンターなら、そこを軽視することはないだろう。

そしてもう一点、テレビ取材を使った演出がなんだか面白味に欠けるのよね、というかもっといろいろできたんじゃねえのと思ってしまう。一つには主人公の「裏切り者」としての世間的認知を知らせるための演出なんでしょうが、なんだかな。劇中で市民がテレビを見ているシーンは一つだけだしな。エビちゃんがテレビ見たり、撮ったりすることもないし。そんだけテレビ使うんなら、その周辺に断層や地滑りが起こる仕掛けがあって然るべきなんじゃないかと思う。

あと、「感染から何時間」ていう字幕は別に要らんかったじゃないでしょうか。

ともかくも、映画の劇中におけるテレビメディアの活用について歴史的に分析してみた本とかないのだろうか。すごく気になるんだけど、自分で分析してみる気にはならない。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

黄道ふみはずすヒアアフター ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。