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色つきのタル [映画]

先月ウェルマンと一緒に届いたタル・ベーラの『Almanac of Fall』(ハンガリー語わからんので、英語題)を見た。ベラ・タールの数少ないカラー映画の1本。何でも、初期社会主義リアリズム時代から現在の様式に移行する過渡期の映画だとか。

カラーといっても、MGMミュージカルのように目に楽しい色彩が踊るわけではもちろんない。乏しい光の中でようやくフィルムにいくつかの色がのったような具合の室内劇。しかも、緑や赤のあまりに不自然な照明がどこからか落ちている。

一つのアパルトマンの中で5人の人物が金とセックスをめぐり、罵り合ったりどつき合ったりを繰り返す。婆さんとニートの息子、息子と懇ろになる看護婦、「ティーチャー」と言われる貧乏なおっさん、もう一人のよくわからないおっさん。限定された空間であるはずなのに、照明は一定でなく、常に異様なアングルから写されているために、劇空間がおそろしく掴めない。清順ばりにガラス張りの床下から撮られたショットもある。

『Damnation』以降のスタイルとは明らかに違うのだが、すでにベラ・タール以外の何ものでもない。しかし、DVDで小さな画面で見るのはつらい映画だった。初期タールのボックスセットも出ているけれど、懐具合も悪いし、今は遠慮しておこう。


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