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加藤泰 [映画]

仕事の話がとんと来なくなった。いや時節柄そういうもんなんだろうけど、いくつか打診のあった話も続きを聞かない。ま、時間のあることはよいことだと思う。そもそも仕事と言っても日々の空腹を凌ぐためのとりあえずの手段であって、実際には他にやんなきゃいけない恐るべき課題を勝手に背負い込んでいる。が、それもひとまず置いといて、DVDなどを借りてきたりしている。

日本映画をどっぷり見るということをしばらくしていない。いつ以来してないかと言うと、それもよくわからないのだけど、少なくとも気まぐれと脅迫観念から国を出たときからこっち、そういうことをしていない。じゃあ何を見たいのかとなると、好きなものはいろいろとあるのだが、なぜかしら加藤泰の映画を見たいといつも思う。大学に入って東京に出た頃、渋谷や池袋の映画館でちょうど加藤泰の特集が組まれていて、よく見に行ったものだった。その頃は、邦画・洋画を問わず他にも気になる映画監督はたくさんいて、必ずしも加藤泰でなくてはならないというようなこともなかった。ただ20代の後半頃に、だいたい一巡り見たような気分になった時分からやっぱ加藤泰やろという具合になってきた。爾来、映画館やらビデオでちょこちょこ見返したりしたものの、本格的な特集上映に巡り会う機会というものはないままである。

海外での評価は、と言っても主にフランスのことだが、加藤泰を見過ごしているとしか思えない。清順や増村、「座頭市」やらロマンポルノ、そして石井輝男まで今ではDVD化されているのに、加藤泰はフランスでもアメリカでも一本も出ていない。いったいどういうことなのだろうか。映画祭ではかかっているわけだし、一般の劇場にも少しは出まわっているはずである。となると、欧米人には受け付けないようなものが加藤泰の映画にはあるということだろうか。確かに、加藤泰の映画はド演歌だと思う。物語も、表現される情動も、それを表現するスタイルも。だとするなら、演歌好きの南米や中東の人々に見せたらどのような反響が返ってくるのであろうか。

それはよいとして、田舎のレンタルビデオ屋を漁って五本の加藤泰をどうにか見ることができた。『緋牡丹博徒』シリーズなどであって、ホントに見たかった『お岩の亡霊』、『風と女と旅鴉』、『日本侠花伝』なんかは置いてない。後ろ二本はまず、DVDにすらなっていない。だから量のうえでどっぷり見たわけではないのだが、加藤泰の映画はどっぷり見たという表現がとても似つかわしいように思う。
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